星尾温泉の浴室。源泉かけ流し
西上州の急峻な山々に囲まれる南牧村。その最奥にある星尾集落に、県外からも人が訪れる温泉が湧いています。村人と観光客の交流の場として開かれた、星尾温泉です。
ほぺたん、星尾温泉へ!
南牧村は明治から昭和にかけて、コンニャクイモの一大生産地として栄えた村です。最盛期は山の頂近くまで段々畑が切り開かれ、生産量日本一を誇る群馬県のコンニャク生産を支えました。ところが、昭和50年代以降は農業の衰退と人口流出が進み、今は日本一高齢化率の高い自治体となっています。
「このままでは村が消えてしまう。村に人をよびこみ、活気を取り戻そう!」と村の有志が立ち上がったのは2017年のこと。集落には、昭和25年まで銭湯として利用されていた温泉がありました。これを復活させようと動き始めます。
「資金を寄付で調達し、築200年の古民家を借りて、その改修から浴室・浴槽づくり、パイプの敷設まで全部、自分たちでやりました。全員素人なので、動画サイトを参考にしたりしながら、見よう見まねです(笑)」とメンバーの小保方さん。こうして2018年9月、村の人たちの手によって温泉が完成しました。
ほぺたんはさっそく、温泉にちゃぷん!茶褐色のにごり湯に、山の緑がゆらゆらと映し出されています。源泉は、かつての銭湯で使われていた冷鉱泉。薪で沸かしているので、湯がまろやかです。体がよく温まり、腰痛に効くからと毎月通う人もいるそう。
「ここにいると、いろんな人に会えるのがうれしいです。南牧村は空気がきれいで、何もないのが良いところ。遊びに来たら、のんびり過ごしてください」(小保方さん)。
宿の裏山にある源泉
温泉の後は、星尾集落を散策しましょう。山の斜面に昔の人が築いた立派な石垣や、築100年以上の趣ある古民家など、昔ながらの農村風景に出会えます。集落を流れる星尾川の上流には、群馬県天然記念物に指定される「線ヶ滝」があり、絶壁を背景に、高さ35mから一本の線を描くように滝壺に落下する優美な姿を観賞できます。
星尾集落
線ヶ滝
星尾温泉の帰り道、南牧村の中心部にある古民家カフェに寄り道。靴を脱いであがると、中はアンティーク家具を配したほっとする空間。地元の野菜や卵、果物をメインに使い、東京から移住したパティシエが腕をふるうケーキとランチが人気です。黒糖ガトーショコラと南牧村産のお茶に、心も体も癒されました。
なんもく村のちょっとしたcafe
住所…甘楽郡南牧村大日向1517
営業時間…11時~15時
定休日…月・木・日曜
TEL…050-5587-2655