壺風呂がある洋風露天風呂
横川駅は、安中市の山あいにあるJR信越本線の終着駅。かつてはその先に長野県軽井沢駅へと至る線路が続き、碓氷線とよばれていました。県境には急峻な碓氷峠が立ちはだかり、これを克服するため、約10キロの区間に26のトンネル、18もの橋をつくる大工事が行われ、開通したのは明治26年のことです。
急勾配を越えるには列車に補助機関車を連結する必要があり、峠の麓にある横川駅には、その作業を行う機関車の車両基地が置かれ、多くの機関士が働いていました。横川は鉄道関係者でにぎわい、平成9年、長野新幹線(現・北陸新幹線)の開通にともない横川-軽井沢駅間が廃止されるまで、鉄道のまちとして栄えます。
そんな鉄道の記憶をとどめるまちにも、温泉があります。「碓氷峠の森公園交流館 峠の湯」は、平成11年、廃線後のまちを活性化する目的で開かれた日帰り温泉施設。レンガ造りのアーチが美しい建物は、国の重要文化財にも指定される碓氷線の鉄道橋、通称「めがね橋」をイメージしてつくられたものです。
峠の湯
自慢は何といっても、露天風呂。「見わたす限り妙義山や霧積山の山並みが広がり、開放感があって気持ちいいですよ」と支配人の大塚さん。陶製の壺風呂で湯を独り占めし、山風に吹かれながらの湯浴みも格別です。湯は、肌をなめらかにする美肌の湯。発汗を抑える効果もあり、爽やかな湯上がり感です。
大浴場「霧積」
温泉とあわせて、新しい観光地として生まれ変わった碓氷線を体験してみませんか?安中市観光機構が主催する「廃線ウォーク」は、普段は立ち入りできない信越本線新線の廃線跡を、ガイドの案内で歩ける人気のイベント。毎月開催され、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の鉄道遺産を楽しめるのも魅力です。碓氷線の線路を利用したトロッコ列車も運行し、鉄道テーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」の「ぶんかむら駅」から、峠の湯がある「とうげのゆ駅」まで、急勾配の碓氷線を旅するのもおすすめです。
トロッコ列車
廃線ウォーク
横川駅のすぐそばに見つけたお店。三世代が切り盛りする、手づくりのわさび漬け屋さんです。原料のワサビは地元の清流で自家栽培し、足りない分は国内産を取り寄せているそう。注文するとその場で、朗らかな奥さんがオリジナルの丸缶に詰めてくれました。黒糖羊羹も人気の逸品です。
わさび屋
住所…安中市松井田町横川405
営業時間…8時30分~17時
定休日…無休。臨時休業あり
TEL…027-395-2323