沢渡温泉の共同浴場。浴槽は熱湯と温湯の2つ
「一浴玉の肌」とうたわれる、肌ざわりなめらかな湯が自慢の沢渡温泉。江戸から暮坂峠を越えて草津へ通じる幹線道にあり、江戸時代以降、湯治場として栄えた温泉街です。その泉質は、草津の強い酸性の湯で湯ただれを起こした湯客が、肌を治すために利用したほどで「草津の仕上げ湯」「治し湯」ともよばれました。歌人の若山牧水も草津から暮坂峠を越えて沢渡温泉を訪れ「みなかみ紀行」で「無色透明、温度もよく、いい湯であった」と称えています。
沢渡温泉街
明治末期には、50軒もの旅館がひしめく一大温泉地としてにぎわった沢渡温泉ですが、昭和10年の大水害、昭和20年の大火で壊滅的な被害を受け、衰退します。源泉も失い、大火の後に営業を再開したのは「龍明館」と「まるほん旅館」の2軒だけでした。温泉街が再生するのは、昭和35年頃のこと。湯量を増やすために行ったボーリングが成功し、高温の温泉が豊富に湧くようになると、旅館も増え、高度経済成長の波にのって活気を取り戻していきました。今は11軒の旅館が立ち並ぶ鄙(ひな)びた温泉街となり、美肌の湯として親しまれています。
ほぺたん、沢渡温泉へ!
ほぺたんは、温泉街の真ん中にある共同浴場へ!ここでは源泉かけ流し、白い湯の花が舞う名湯を堪能することができます。湯上りは涼みがてら、上沢渡川沿いの「晩釣りせせらぎ公園」を散策しましょう。夏は水遊びも楽しめます。温泉街からさらに暮坂峠まで足をのばせば、牧水が暮坂峠で詠んだ詩が刻まれた詩碑と、旅姿の牧水像があり、往時の旅路に思いをはせることができます。
晩釣りせせらぎ公園
暮坂峠 若山牧水詩碑
温泉の後は、ガーデン散策でさらにリフレッシュしませんか?沢渡温泉から車で約10分の「中之条ガーデンズ」は、12万㎡の敷地に数百種の植物を育てる庭園。約370種のバラを育てる「ローズガーデン」、渦巻き状の花壇に草花が咲く「スパイラルガーデン」、春は桃色に染まる「花桃の丘」など、四季を通して植物の豊かな表情を楽しむことができます。食事処やカフェ、遊具広場もあり、ゆっくり過ごすのがおすすめです。
中之条ガーデンズ
共同浴場の向かいに、お饅頭屋さんを見つけました。入れかわり立ちかわり、お客さんが訪れる人気店です。ラインナップは温泉まんじゅう、そばまんじゅう、そして名物「きび大福」。もち米にきびを混ぜた生地に、自家製あんを包んだきび大福は、きび独特の風味とふんわり、もっちりした食感が美味!沢渡温泉土産にぜひ、どうぞ。
中屋饅頭店
住所…吾妻郡中之条町大字上沢渡2313
営業時間… 8時~17時
定休日…水曜
TEL…0279-66-2302