るっく&WALK

NO.213 安中市「霧積温泉」(2020年5月号)

金湯館の写真

新緑の霧積温泉「金湯館」

るっく&WALK in 安中市

山奥の宿、霧積温泉「金湯館」へ

碓氷峠がある霧積山の山道をのぼり、ようやくたどり着く、霧積温泉。明治時代は旅館や別荘、商店が40軒以上あり、軽井沢に先駆けて避暑地として栄えましたが、今は一軒宿の「金湯館」があるだけです。明治43年の山津波でほとんどの建物が流されてしまい、ただ一軒、残ったのが金湯館だったのです。

「ここは自然と温泉のほか、何もないのがいいところ」と4代目ご主人の佐藤さん。山登りや渓流釣りを楽しむ人、のんびり過ごしたい都会からのお客さんなど、自然と静けさを求めて、山奥の宿を訊ねる人が今も絶えません。

水車の写真

自家発電に使われていた水車

金湯館の創業は明治17年。玄関がある母屋の建物は、明治16年に建てられたものです。風情ある廊下をたどっていくと、そこがお風呂場。無色透明の天然温泉は、とくに切り傷や火傷、あせもなど皮膚に良いとされ、佐藤さんは子どもの頃、ケガをすると親に「温泉につけておきなさい」と言われたそう。「昔は病気もケガも、温泉で治しました。この宿でも、難病を治した人がたくさんいますよ」と3代目大女将のみどりさん。

女湯の写真

無色透明の天然温泉(女湯)

金湯館は、歴史や小説の舞台としても知られています。明治時代には、なんと、伊藤博文らが母屋2階の1号室に滞在し、明治憲法草案を起草したそうです。また、昭和50年代に大ヒットした推理小説・映画「人間の証明」が生まれたのも、ここ、金湯館。作家の森村誠一氏は山歩きのために宿泊し、宿のおにぎり弁当の包み紙にあった西条八十の「帽子」の詩からインスピレーションを得て、かの推理小説を執筆しました。今も小説のファンが宿を訪れるそうです。

おにぎり弁当の写真

おにぎり弁当

金湯館のみなさんの写真

金湯館のみなさん

標高が高い霧積温泉は、平地よりも1カ月遅く春が訪れます。例年は4月にヤシオツツジ、山桜が咲き、5月になると芽吹き始め、山は見事な新緑に染まります。この季節、春を追いかけて山歩きをしてみませんか? 宿周辺にはハイキングコースがたくさんあります。のんびり楽しむなら、宿から旧碓氷峠近くの熊野神社まで、片道約3時間のコースがおすすめ。神社を参拝し、茶屋でひとやすみしたら、旧碓氷峠見晴台へも行ってみましょう。運が良ければ雲海に出会えます。山歩きのあとの温泉は、格別です。

熊野神社の写真

熊野神社

編集だより

だいこく様の写真

霧積温泉の入り口にある玉屋ドライブインは、200年以上昔、旧中山道にお茶屋さんとして創業した老舗。江戸時代、峠を越える旅人に力をつけてもらおうと、茶屋で出していた力もちを、今も毎朝もち米をふかすところから手作りしています。お腹をすかせた取材陣は「かつ丼と力もちのセット」をいただいて、パワー満点になりました!

玉屋ドライブイン
住所…安中市松井田町坂本1011-1
営業時間…9時~17時
定休日…不定休
TEL…027-395-2457

地図
  • 掲載した店舗・施設は、定休日以外に臨時休業となる場合もあるので、ご了承ください。
  • 一部取材先より画像をお借りしています。