るっく&WALK

NO.145 上毛かるた 「る」の札(2014年5月号)

上毛かるた 「る」の札イメージ

許諾第05-010901号

るっく&WALK in 水上

先人たちの知恵が生み出したループ線

群馬と新潟の県境を結ぶ清水トンネルは、1931 年に完成しました。その長さは9702メートルに及び、当時としては日本一を誇るものでした。今では数千メートル級のトンネルも珍しくありません。しかし、トンネル技術が発達していなかった当時、長大なトンネルを掘るのは容易でなく、多大な建設費用がかかりました。標高の高いところにトンネルをつくれば、長さを短縮できますが、列車は険しい坂道を登ることができません。

そこで、清水トンネルの両側には、群馬県側に「湯檜曾ループ線」、新潟県側に「松川ループ線」がつくられました。山のまわりに円を描くように走るループ式の線路は、高低差の大きい区間を走るための工夫です。ループ式の線路を1周すると、急斜面でもゆるやかに坂を上ったり下ったりできます。

地図

清水トンネルの完成とともに上越線が開通し、関東と日本海側を直接結ぶルートが生まれました。それ以前と比べると、新潟~東京間の移動時間が約4時間も短縮され、人や物の流れが飛躍的に向上しました。「ループで名高い清水トンネル」という札には、苦労しながら上越線を開通させた先人への感謝と敬意が込められています。

トンネル技術の進化ともに、険しい山地にも長大なトンネルが貫けるようになり、現在、群馬と新潟を結ぶ鉄道のトンネルは、清水・新清水・大清水の3本あります。清水トンネルは上越線の上り列車、新清水トンネルは上越線の下り列車、大清水トンネルは上越新幹線がそれぞれ走っています。上越線の湯檜曾駅と土合駅は、新清水トンネルの中に下りホームがあり、上りホームが地上、下りホームが地下という珍しい構造をしています。

湯檜曾駅下りホーム

湯檜曾駅下りホーム

湯檜曾駅上りホームに入ってきた列車

湯檜曾駅上りホームに入ってきた列車
(2014年3月撮影)

上越線の湯檜曾駅の上りホームからは、ループ状の線路を走る電車を眺めることができます。この駅は、湯檜曾温泉の玄関口。駅のまわりには、湯桧曽川の清流に沿って温泉街が広がります。鎌倉時代に発見されたといわれる温泉は、数百年以上にわたって人々に親しまれてきました。

お隣の土合駅は、群馬県の最北端にあり、「日本一のモグラ駅」として有名です。地上にある改札から地下の下りホームまでの階段は、なんと486段! 地下深くにあるホームを見てみたいと、県外から見学に訪れる人もいるほどです。ただし、列車の運行は、平日・休日ともに5往復なので、土合駅を訪問される際は、事前に時刻表をお確かめくださいね。

湯檜曾駅から見たループ線を走行する列車

湯檜曾駅から見たループ線を走行する列車

土合駅下りホームと地上を結ぶ階段

土合駅下りホームと地上を結ぶ階段

編集部だより

湯檜曾駅と土合駅へ取材に訪れたのは3月中旬。駅はまだ多くの雪で覆われていました。5月には新緑が広がり、また違った景色が楽しめそうです。甘いものに目のない担当者は、取材中、湯檜曾にある「いさごや」へ。名物の「生大福」は、真ん中に入った生クリームと小豆が絶妙に調和して、やみつきになるおいしさ。旅のおみやげにおすすめです!

いさごや

利根郡みなかみ町湯檜曽200-1
営業時間…8時~16時
定休日…水曜、元旦
027-872-3530
URL…http://namadaifuku.com

生大福の写真

いさごや 生大福

  • 掲載した店舗・施設は、定休日以外に臨時休業となる場合もあるので、ご了承ください。
  • 一部取材先より画像をお借りしています。

■次回は「て」の札をご紹介します。