許諾第05-010901号
蚕を育て繭をつくる「養蚕」、繭から生糸をつくる「製糸」、生糸を染めて布に織り上げる「織物」。やわらかな光を放つ絹織物ができあがるまでには、さまざまな工程があります。こうした一連の絹産業を発展させ、絹の一大生産地となった群馬県。明治時代、富岡製糸場を中心に群馬県で花開いた絹産業は、日本の近代化の礎となりました。上毛かるたで「繭と生糸は日本一」と謳われるように、養蚕農家の戸数、繭の収穫量、生糸の生産量において、群馬県は今でも日本一を誇ります。
蚕が作り出す繭
糸繰り器(群馬県立日本絹の里)
群馬県立日本絹の里 外観
絹の歴史をパネルで紹介
伝統ある絹産業をもっと詳しく知りたい!そう思ったら、高崎市金古町にある『群馬県立日本絹の里』へ行ってみましょう。ここは、絹文化の豊かさを現代に伝える博物館。繭や生糸に関する資料から伝統の技が光る絹製品まで、絹をめぐる歴史と文化を総合的に知ることができます。
展示室でまず紹介されるのは「群馬県蚕糸業の足跡」。絹の歴史は、今から五千年以上前の中国で始まったといわれています。日本にいつ伝わったかは明らかになっていませんが、弥生時代には養蚕を行っていたという記録が残っているそうです。古くから絹産業が盛んだった群馬県では、明治時代、近代的な養蚕法が多く生み出されました。
展示室では、地元の養蚕家、高山長五郎が考案した養蚕法、「清温育」を再現した模型をはじめ、養蚕や製糸で使われた道具などが紹介され、時代とともに発展してきた絹産業の様子を実際に見ることができます。
清温育の蚕室
「昔、うちでも蚕を飼っていたから、なつかしいわ」と話しながら、見学する年配の来館者の方がいる一方、子どもたちには、蚕を育てるゲームが人気なのだとか。画面に登場する蚕の赤ちゃんに餌をあげ、いろいろなお世話をしながら育てるゲームで、蚕の生態を楽しみながら学ぶことができます。
展示室には、映像で絹産業の歴史を紹介する部屋や、蚕の成長から糸ができあがるまでの流れを紹介するコーナー、群馬県オリジナルの繭と生糸の展示などもあります。
バーチャルの世界で蚕を飼育
『群馬県立日本絹の里』で伝統産業の魅力をたくさん知った後は、地域に残る絹遺産を訪ねてみませんか。群馬県に根づく絹の歴史や文化は、日常生活の中の行事や祭礼としても引き継がれてきました。県内各地には、世界遺産となった富岡製糸場をはじめ絹に関わる場所が数多く残されています。県が登録している「ぐんま絹遺産」はウェブサイトで調べることができるので、お近くの絹遺産を探してみてはいかがでしょうか。
各地の絹織物
『群馬県立日本絹の里』では、繭を使って花や動物をつくる「繭クラフト」をはじめ、手織り、染色など、さまざまな体験教室が開かれています★。取材に訪れた日は、和布を使ったお細工教室に参加する方々でにぎわっていました。染色素材や繭クラフトの手作りキットは、ショップでも買うことができます。繭でできた動物たちはどれもかわいくて、おみやげにぴったりです!
★要予約。開催日、体験料などはホームページでご確認ください。
高崎市金古町888-1
開館時間…9時30分~17時
休館日…火曜(祝日の場合は翌日)
観覧料…一般200円、学生100円、中学生以下無料(企画展開催時は特別料金)
027-360-6300
■次回は「す」の札をご紹介します。