大島鉱泉の男湯
毎年8月16日の夜、富岡市大島地区の城山で行われる「大島火まつり」は、奈良時代から伝わる伝統行事。山腹に地元民の願いをこめた一文字が火文字となって浮かびあがり、お盆の夜を彩ります。その城山を背に、白い煙を煙突からもくもくと上げているのが大島鉱泉。群馬県でただ1軒、温泉を使った「銭湯」です。
大島鉱泉
ほぺたんが訪ねると、3代目主人の小間さんが窯に薪をくべて湯を沸かしていました。
「薪で沸かすと、よくあったまるよ」と小間さん。約11度の鉱泉を80度くらいまで温めてから、温度を調整するそう。銭湯が開く13時頃にはいい湯加減になっています。
ほぺたんはさっそく、一番風呂にちゃぷん!体の芯までじんわり温まって、いい気持ちです。壁には銭湯らしく富士山の絵。こんないい湯を、ここでは銭湯料金400円で楽しめます。
ほぺたん、大島鉱泉へ!
湯の始まりは大正時代。村人が共同で井戸を掘ると、ほんのりゆで卵のようなにおいのする水が湧き、地元の人たちは「浸かるとできものが治る」「飲めば胃腸に良い」と薬代わりに利用するように。戦後、先代が源泉を買い取って銭湯を始め、後に宿泊施設も併設しました。お客さんは地元の農家が多く、宴会や子どもたちの合宿にも使われてにぎわったそうです。そして銭湯だけの営業となった今もなお、地元の常連や市街から足繁く通うお客さん、レトロな雰囲気に惹かれて遠方から訪れる若者など、多くのファンに愛されています。
77歳になった今も、毎日薪で湯を沸かし、お客さんを迎えている小間さん。
「体が丈夫なうちは続けたいよね。よくあったまるなぁってほめられるとうれしいもの」と話してくれました。
窯の中
大島鉱泉を訪ねるなら、ハイキングを兼ねるのもおすすめです。神成山(かんなりやま)は標高328mの低山ながら、富岡市の田園を一望できる眺めの良い山。気持ちの良い尾根を歩きながら、春は可憐なオキナグサやミツバツツジに出会えます。下山後は温泉銭湯で一風呂浴びましょう!
神成山
神成山への道中に寄った創業100年の和菓子屋さん。目当ては、朝10時に焼きたてが並ぶ耳までふわふわの食パン。その場でジャムやあんこ、ピーナツバターなどのサンドにもしてくれるので、ハイキングのおともにもぴったり。午前中に完売することも多いのでお早めに。
富光堂
住所…富岡市一ノ宮1346-6
営業時間…9:00~18:00
定休…月曜、第2・4火曜
TEL…0274-62-2019