許諾第05-010901号
桐生市の夏の風物詩といえば、おまつりで演じられる八木節。毎年、夏が近づくと、市内では、おまつりに向けて八木節の練習が行われ、にぎやかなお囃子が聞こえてきます。
八木節の発祥には諸説ありますが、そのルーツは江戸時代にまでさかのぼります。越後(新潟)で生まれた唄が各地に広まったと伝えられており、すこしずつ変化しながら歌い継がれてきました。テンポが速く、はつらつとした八木節は上州人の気風にぴったり。新たな歌詞が次々と生み出され、世代を超えて親しまれています。
八木節と聞いてまず頭に浮かぶのは、どんな歌詞でしょうか。桐生八木節連絡協議会の会長、阿部建治さんによると、八木節の歌詞は三百以上も存在するのだとか。群馬の歴史や偉人を題材とした歌詞のほか、昭和22年9月の台風で群馬が大きな被害を受けた時に、災害にあった人々を励まそうとつくられた「復興八木節」などもあるそうです。
桐生八木節まつり
桐生八木節まつりの間、街中が熱気と興奮で包まれる
八木節に欠かせないお囃子
両毛最大規模の夏まつりである「桐生八木節まつり」は、毎年8月第一金曜から3日間、開催されます。「桐生八木節まつり」は昭和39年から開かれており、昨年、第50回を迎えました。第51回は、今年8月1日~3日に開催される予定です。桐生市の中心を走る本町通り、末広町通りには、やぐらが立ち並び、威勢のよい八木節がおまつりを盛り上げます。
おまつりの間、「全日本八木節競演大会」をはじめ、「ダンス八木節」、「子どもみこしまつり」など、多彩なイベントが行われます。「全日本八木節競演大会」では、県内外から集まった参加者が、自慢ののどを競い合います。最終日には、歴代の優勝者たちが美声を披露するので、こちらもお見逃しなく。「ダンス八木節」で競われるのは、八木節の旋律を取り入れた曲で踊る創作ダンス。ストリート風やジャズダンス風など、新しい八木節は子どもから大人まで大人気です。
新潟から群馬へ広まった八木節は、桐生市だけでなく、伊勢崎市、富岡市、沼田市、太田市などにも保存会があり、県内各地で民俗芸能として受け継がれています。春まつりや夏まつり、小学校の運動会や地域のイベントなど、さまざまな場面で演じられ、人々に長く愛されてきました。
上毛かるたでは、「そろいの仕度で八木節音頭」と謳われ、白いハチマキを巻き、花笠を持って八木節を楽しむ人々が描かれています。このようにお揃いの格好で演じられる八木節ですが、地域によって衣装や歌詞、お囃子にさまざまな違いがあるようです。八木節の魅力を探りに、今年は各地の夏まつりへでかけてみてはいかがでしょうか。
子どもみこしまつり
全日本八木節競演大会
ダンス八木節
今回の取材では、桐生八木節連絡協議会の皆さんの練習風景を見学させていただきました。にぎやかなお囃子と力強い音頭が響く練習場。「アアー、さても一座の皆様方よ、わしのようなる三角野郎が~」と歌いだしが聞こえてくると踊りだしたくなるのは、八木節の持つ魅力でしょうか。全日本八木節競演大会で優勝したことのある三田さんは「また聞きたいと思われる歌い方をしたい」と話してくれました。8月のおまつりが待ち遠しいですね。
お囃子の練習をする皆さん
たくさんの種類がある八木節の歌詞
■次回は「ろ」の札をご紹介します。