楽歩堂前橋公園 さちの池
関東一の大河、利根川に抱かれる前橋市。その豊かな水は、前橋に恵みをもたらし、ときに荒れ狂い、まちの盛衰に大きく関わってきました。
江戸時代、利根川を背にしてそびえる前橋城は、徳川家康に「関東の華」と言わしめるほどの地位を誇りました。ところが、たび重なる洪水で崩壊し、城を失った前橋は衰退します。それから約100年後、横浜港開港を契機に、前橋は生糸輸出で一躍発展。利根川の水運を利用し、上州特産の生糸を安い運賃で迅速に横浜へ輸送できたことが追い風となりました。生糸商人の下村善太郎らは、生糸で得た富を県庁誘致や利根川の架橋、鉄道敷設など地域振興のために惜しみなく投じ、近代前橋の基礎が築かれたのです。
前橋市を流れる利根川
前橋城があった利根川河畔には今、350本の桜樹が茂る「楽歩堂前橋公園」があります。この場所は古くから、浅間、妙義、榛名、赤城の名峰を見渡せ、眼下に利根川の清流が流れる風光に恵まれた地でした。明治25年、初代前橋市長となった下村は、ここを市民の憩いの場とすることを計画。私費で吉野から桜の苗を取り寄せ、植樹しました。これが前橋屈指の花の名所の始まりです。下村は桜を植えた翌年に亡くなりますが、その願いは叶い、前橋公園は四季を通じて人々が憩う場となっています。
園内には、前橋を代表する歴史的建物「臨江閣」があります。その名は「江(大きな川)を臨む」という意味です。本館は明治17年、下村を中心とする地元有志の寄付により迎賓館として建てられ、明治天皇や皇太子時代の大正天皇も滞在されました。創建当時の面影が色濃く残る館内を巡れば、前橋の歴史文化を肌で感じることができます。
園内には他にも、臨江閣を囲む日本庭園、群馬県の形をかたどった「さちの池」、利根川に面した親水エリア、昭和レトロな児童遊園地「前橋るなぱあく」などがあり、レジャーや散策にもってこいです。これからの季節は「さちの池」南側水路に蛍が舞い、ライトアップされた臨江閣とあわせて楽しむのもおすすめです
臨江閣からの眺め
ライトアップされた臨江閣
前橋るなぱあくの木馬で遊ぶほぺたん
グリーンドーム前橋の隣に小さなカフェを発見。入ってみると、中は明るくゆったり。手づくりのランチとたっぷりの紅茶で、心地良い時間を過ごしました。メニューはパン、ごはん、スイーツと種類豊富。早朝から営業しているので、朝の散歩途中に立ち寄るのも良さそうです。
Club Thierry(クラブ ティエリ)
住所…前橋市岩神町1-9-10
TEL…027-289-8288
営業時間…
7時~18時(ラストオーダー:17時30分)
土曜・日曜・祝日 6時~17時(ラストオーダー:16時30分)
定休日…木曜