どんな料理にも合い、毎日食べても飽きないやさしい味の「CO・OP たまごスープ」。
コープ商品60周年総選挙では、人気ナンバー1に選ばれたひと品です。
器にぽんっと入れお湯を注ぐと、淡い黄色の花がふわっと咲くように広がるたまご。手作りのスープの仕上げに、溶いたたまごを鍋に落としたときと同じ光景です。「CO・OP たまごスープ」は家庭で作るかきたまを目指して作られた、フリーズドライのスープ。1994年の発売以来愛され続け、2020年に行われたコープ商品60周年総選挙では、全国の組合員の皆さんから人気ナンバー1に選ばれました。
製造するのは八戸東洋株式会社(青森県八戸市)。取締役社長の島崎康子さんと、製造に携わる社員の皆さんに話を聞きました。
「作りたかったのは、どんな料理にも合い毎日食べても飽きないやさしい味の商品。お湯を入れた瞬間に、たまごが全体に広がって、ひと口目から最後までおいしく食べられるスープです」
当時、東洋水産株式会社で東京の研究室にいた島崎さんは、設備のある八戸に通いながら100回以上試作を続けました。
「たまごスープの開発は、入社してすぐに初めて任されたテーマでした。当時、フリーズドライ製法のスープ開発は前任者がおらず、ノウハウのない状態で試行錯誤するうちに、たまごが一番大事だとわかったんです。たまごは、鮮度の良いものを使用するため、隣町の契約した養鶏場から届いています。ほかにも研究を重ね、やっと目指しているふんわりしたかきたまを作ることができました」と島崎さんは言います。
製造工程で要となるのは、何といってもスープにたまごを入れるところ。
「スープの沸騰具合を見て、たまごを入れるタイミングを決めています。温度管理と、スープをかき混ぜるハネの回転速度を目視で確認しながら調整します。たまごも季節や日によって状態が違うので、きちんと見て調整します。この釜よりも大きな釜で作ると、かきたまのふわふわ感が変わってしまいます」とこの工程を担当する中村健さん。
「たまごを良いタイミングで入れると本当に花が咲くみたいに、きれいにふわっと広がるんです。私がここへ異動して来た当初、見て驚いたのを覚えています。もちろん製造マニュアルはありますが、そこは職人技なんですよね」と常務取締役の谷孝一さんが続けました。
「今後も、安定した品質の安心できる良い商品を作っていきたいです。いろいろなアレンジ法もありますが、作った者としては、熱湯を規定量160㏄入れて、まずはそのまま飲んでもらいたいです」。島崎さんは笑顔でそう言いました。
ずっと愛され続ける商品であってほしい、そんな思いが込められた「CO・OP たまごスープ」。ぜひ、そのままできたてをお召し上がりください。
凍らせてから乾燥させる「真空凍結乾燥」という製造方法のこと。たまごスープの中には、とても小さな水の粒が入っています。それが急速冷凍により、氷の粒に変化します。その後、真空乾燥させると、氷は水蒸気(気体)となって飛んでいき、穴ができます。食べるときにお湯を入れると、その穴の部分にお湯が入り込むことで素早くスープが再現されます。
釜にしょうゆ、チキンエキス等の調味料を入れて、スープを作ります。スープが沸騰したらたまごを入れ、ふわふわのかきたまを作ります。
スープと具材をトレーに充填し、手作業でヘラを使ってスープをならし、飛び出た具材がある場合はスプーンでおさえます。
スープが入ったトレーを運び、冷凍庫に入れて急速冷凍し、ひと晩置きます。
冷凍したスープをトレーごと真空乾燥機の中に入れ、丸1日かけて乾燥させます。
1食分ごとの重量チェック、金属探知機とX 線探知機による異物検査を行い、ロットごとに各種検査(水分・細菌・包材・官能検査)を行います(写真は包材確認の様子)。検査で問題がなければ、自動包装機で包装された商品を丁寧に箱詰めし、順に出荷します。
【広報誌2022年3月号より】