食品中の放射性物質について

1.放射性物質についての考え方

  1. 国は放射線被ばくのリスクについて、通常の一般生活で受ける放射線量を除いた追加の放射線量が、生涯累積でおおよそ100ミリシーベルト以上となる場合に放射線による影響が見出される可能性があり、一方追加の累積線量100ミリシーベルト未満の健康影響は放射線以外のさまざまな影響と明確に区別できない、と評価しています。
  2. 食品中の放射性セシウム濃度の基準値
    1. (1) この評価に基づき、食品衛生法では食品からの年間の被ばく線量上限を1ミリシーベルトとするために、食品中の放射性セシウムの基準値を設定しています。(単位:ベクレル/キログラム)
食品群 一般食品 乳児用食品 牛乳 飲料水
基準値 100 50 50 10
  1. (2) 食品衛生法上の基準値は国際的な基準と比較しても厳しいものであり、社会全体でこの基準に基づくリスク管理が確実に実施されれば、国民への健康影響は極めて小さいとされています。
  2. (3) 従って、生協の自主基準として、食品衛生法の基準値より低い値を設定することは、情報の混乱や風評被害を招くため行いません。

2.放射性物質の自主検査について

  1. 取り扱う食品の管理状況を確認し、傾向値を把握するために商品検査センターなどで放射性物質検査を行います。
  2. 国が定めている検査対象自治体で収穫された原料を使用した食品、国民の摂取量が多い食品、乳幼児が摂取する食品等、優先順位をつけて検査を行います。(単位:ベクレル/キログラム)
食品群 一般食品 乳児用食品 牛乳 飲料水
検出限界
(核種ごと)
10
※5
5 5 1

※一般食品の中で、特に小さなお子さまの利用が想定される食品

  1. 検査結果は、ホームページなどでお知らせします。検査結果のお知らせは、検査レベル(検査数、検査項目、検出レベル、検査精度等)を明確にし、検査のもつ限界や活用できる範囲等も明示し、わかりやすく行います。
  2. 個々の食品の検査とは別に、日本生協連と協力して家庭の食事からの放射性物質摂取量調査を行い、傾向等を把握し結果を公開します。

3.フードチェーンの役割とリスクコミュニケーション

  1. 最新の知見について、正確な情報提供を行います。組合員の声に丁寧に答えながら、食品中の放射性物質のリスクについての正しい理解と判断につながるリスクコミュニケーションに取り組みます。
  2. 産地・生産者が取り組む放射能対策や検査結果を組合員にお知らせします。生産者、製造者、消費者をつなぐフードチェーンにおいて多面的な交流を進め、風評被害を防ぎ、利用を通じて産地・生産者を応援します。

【参考】放射能と放射線

  1. 「放射線」を出す物質を「放射性物質」といい、放射線を出す能力を「放射能」といいます。放射線、放射能、放射性物質の関係を電球に例えると、「電球」が放射性物質に、電球から出る「光線」が放射線に、電球の「光を出す性質」と「その強さ(ワット数)」が放射能です。
  2. 放射線、放射能に使用される単位
放射線 線量当量 シーベルト(Sv) 生物が放射線を受けたときの影響を表す単位
吸収線量 グレイ(Gy) 放射線が物質に当たったときその物質に吸収されるエネルギーを表す単位
放射能 ベクレル(Bq) 放射性物質の量を表す単位で、1ベクレルは1秒間に1個の原子核が壊変することを表す
  1. 人間は、空から降り注ぐ宇宙線、空気や食物からの放射線など、自然の放射性物質からの放射線を絶えず浴びています。人工放射線では、核エネルギーや医療用の放射線、建材や化学肥料等からも放射線が出ています。
  2. 日本人が自然界から受ける被ばく線量は平均年間2.1ミリシーベルト、医療診断によるものは年間平均3.9ミリシーベルトです。

    ※出典データ 原子力安全研究協会「生活環境放射線(2011年)」