白身魚のうまみを凝縮した上品な味わいで、
贈答品はもちろん、ヘルシーフードとしても人気が高い笹かま。
2023年にリニューアルし、さらに厚く、ふっくらした食感になりました。
宮城県の名産品・笹かま。全国有数の練り物産地である塩竈市内に4つの工場を持つ株式会社高浜は、1935年創業の練り物メーカーです。
その本社工場で作られる「CO・OP 厚焼笹かま」を、「弾力としっとり感にこだわり、グレードの高いアメリカ産スケソウダラのすり身だけを使っています」と説明するのは製造部の藤崎卓也さん。
笹かまの原料となる魚のすり身は、水分量、白さ、不純物の少なさでグレードが決まります。アメリカ産スケソウダラは、新鮮なうちに加工・凍結されるため、鮮度を維持したまますり身にでき、白い笹かまに最適なのだそうです。
製造部長 兼 本社・第三工場長の藤崎卓也さん(右)と品質保証部主任の大槻蘭さん
笹かまが全国に広まる大きなきっかけとなったのは、約40年前の東北新幹線の開業と、14年前の東日本大震災です。
「震災時、東北応援として西日本でもキャンペーンを組んでいただけたのはありがたかったですね。コロナ禍に取り寄せてファンになっていただいた人も多く、ここ1~2年は県外からの問い合わせが増えました。近年のヘルシー志向で、タンパク質を手軽に摂取できる点も人気の理由のようです」と藤崎さん。
温度管理の技術が向上し、品質を落とさずに遠方まで届けられるようになったことも、販売エリアの拡大につながりました。
「笹かま」は商標登録されており、宮城県で生産しているメーカーしか使えません。「だから他の地域で作られたものは、『笹かまぼこ』であっても『笹かま』ではないんです」と藤崎さんは笑います。
「笹かまは宮城の味。地元の人間として生産に携われていることをうれしく思います。県内には多くの競合メーカーがありますが、自分たちが作るものに自信を持っています。いっそう頑張っていきたいですね」
組合員の皆さんに安心して食べてもらうため、安全管理も徹底。品質保証部主任の大槻蘭さんは「毎月検査を行い、製造ラインがきちんと清掃されているか確認しています」と話します。食味検査は焙焼後・冷却後・包装工程と3回実施。週1回は担当者に加え、工場の管理者も食味検査を行っています。
大槻さんおすすめの食べ方は、トースターで2分ほど焼くこと。「焼きたてのようにふっくらして香ばしくなるので、ぜひ一度試してみてください。チーズをのせて焼いてもおいしいですよ」
東日本大震災では3カ月ほど生産が停止。その間に取引先は他地域のメーカーから商品を仕入れ、元に戻るまで年月がかかりました。
しかし現在は、注文に応えるため工場は365日フル稼働! 約90人のスタッフが交代勤務で製造に取り組み、宮城の味を守り続けています。
運動前後の栄養補給に、お酒のおともに、「CO・OP 厚焼笹かま」はいかがですか?
骨と皮を取り除いた冷凍のスケソウダラをマイナス4度程度に解凍、球形の機械に投入し、砂糖や塩などの調味料を加えて15~20分かき混ぜると、均一に練り上げられたすり身が出来上がります(写真A)。石臼で50~60分かけて練っていた頃と変わらない品質を維持しているとのこと。網でこして異物混入がないことを確認します(B)。
笹の葉の形をした型にすり身を入れて串を刺します。ローラーに押し当てて表面に波形の模様を入れます(写真C)。昔の笹かまの、職人がすり身を型に押し込む際に付く指の跡を再現しています。
ガス炉に入れ、まずは低温でじっくり加熱してふっくらさせ、次に高温で表面を焼き上げて香ばしく仕上げます(写真D・E)。笹かまの食感を決める大事な工程。一昨年、30年以上使っていた焙焼機をすべて更新し、目指す食感をより追求できるようになりました。
焼き上がった笹かまをローラーで挟んで串から抜き(写真F)、熱々の笹かまを冷ましながらベルトコンベアーで冷却機に移動させ(G)、しっかり冷却します。
冷却された笹かまを金属検査機に通し(写真H)、目視で検品して形が悪いものや適切な焼き色でないものをはじきながら、4枚1セットにします(I)。フィルムで包装し、金属検査機・重量チェッカーを通して、箱詰めして出荷します(J)。
【広報誌2025年3月号より】