るっく&WALK

NO.181 上毛かるた「あ」の札(2017年5月号)

あ:浅間のいたずら 鬼押出し

許諾第05-010901号

るっく&WALK in 嬬恋村

大噴火が生み出した奇景

群馬県と長野県の県境にそびえる浅間山。標高2568メートルに達する活火山で、これまでに数えきれないほどの噴火を繰り返してきました。

その中でも特に大きな被害をもたらしたのが、江戸時代、天明3年(1783年)に起きた噴火です。浅間山の噴火によって発生した大量の土石なだれは、土砂や水をまきこみ、ふもとの村を襲いました。このとき、吾妻川に流れ込んだ泥流は、利根川の下流にまで達し、火山灰が1メートル以上積もった地域もあったそうです。

上毛かるたにある「浅間のいたずら 鬼の押出し」は、この大噴火によって生み出されたものです。浅間山の火口から流れ出た溶岩は、山麓で冷えて固まり、長年風雨にさらされた結果、世界的にもめずらしい景色をつくりだしました。

浅間山の頂を望む「鬼押出し園」の写真

浅間山の頂を望む「鬼押出し園」

200年以上も前に起きた噴火とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。まず、ほぺたんは「鬼押出し園」を訪ねました。

「鬼押出し園」に足を踏み入れると、目の前には荒涼とした岩場が広がり、独特な雰囲気を漂わせています。ごつごつとした黒い溶岩は、どれも背丈を超えるほど大きくて迫力があり、当時の噴火の激しさを今に伝えています。

「鬼押出し園」の中央には、浅間山の噴火で犠牲になった人々を供養するためにつくられた「浅間山観音堂」が建っています。「浅間山観音堂」をお参りしたほぺたんは、奇妙な形をした岩を眺めながら園内を散策。5月中旬になると、岩陰で美しく輝くヒカリゴケやめずらしい高山植物の姿を遊歩道から観察することもできます。

奇岩が広がる「鬼押出し園」へやってきたほぺたんの写真

奇岩が広がる「鬼押出し園」

「鬼押出し園」の散策を楽しんだあと、ほぺたんは次の目的地「嬬恋郷土資料館」へ。この資料館には、浅間山の噴火で埋没した村から発掘された品々などが展示されており、多数の貴重な資料を通して噴火が起こった当時の様子を知ることができます。

「嬬恋郷土資料館」にやってきたほぺたんの写真

「嬬恋郷土資料館」を見学しよう!

噴火の歴史を紹介する展示室の写真

噴火の歴史を紹介する展示室

「嬬恋郷土資料館」の周辺は、かつて鎌原村と呼ばれていましたが、浅間山の噴火によって村にあった全118戸が流失し、村民477人が犠牲になったそうです。

「嬬恋郷土資料館」のすぐそばに建つ「鎌原観音堂」。本堂の前にある階段には、「天めいの生死をわけた十五だん」という文字を刻んだ石碑が建っています。浅間山が噴火し、火砕流や土石流が迫ってきたとき、幸いにもそれに気づいた人々は、高台にある「鎌原観音堂」へ逃げました。土砂はその足元まで迫ったものの、石段をわずか15段だけ残して止まり、観音堂の境内にたどり着いた人々は奇跡的に助かったそうです。

村民の命を救った「鎌原観音堂」は、今でも厄除け観音としてあつく信仰されています。

今も地域に親しまれる「鎌原観音堂」の写真

今も地域に親しまれる「鎌原観音堂」

編集だより

農産物のイメージ

嬬恋村といえばキャベツが有名ですが、地域に点在する農産物直売所では、春から秋にかけて高原で採れた野菜をはじめ、果物や山菜など、さまざまな旬の食材が並びます。地元の農家さんのこだわりがつまった農産物はおみやげにぴったり!旬の味をぜひ堪能してみてください。

地図
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  • 一部取材先より画像をお借りしています。

■次回は上毛かるた「せ」の札をご紹介します。